日本人の気質と主張されるものと南大門仁王像49

日本でも個人が自己の利益を図り、利益の対立する他者と競合するのは当然であるものの、一応表向きは、自己主張を抑える奥ゆかしさが美徳とされるので、そのような価値観の比較的薄い社会の人間と比べた場合、その表向きの建前を崩さずに、時には逆に利用して相手を出し抜いて自分の利益を達成することが多くなりがちといわれることが多い。具体的には下に挙げたようになるが、これは他の『○○文化論』同様、ひとつのナラティブであり、異論も強い。しかしここでは、真偽のほどは別として、ひとつの社会的幻想としての『日本人像』をあらわすものとして記述する。
お辞儀・敬礼:表向き、目上を尊敬する『縦社会』ということになっているため、このような礼法が発達したという意見がある。無論、心の底はまた別である。
本音と建前:表向き、『和』を重んじることになっているので、表向きは無難なことだけを言い、真意は相手に「察してもらう」ことを期待する傾向が強いとされる。私的な空間や利害関係のない相手と向き合っているときなど、『和』という表向きの約束事にも配慮する必要がないときは、より露骨に自分の本音を出すようになる傾向があるといわれる。
「ハレ(晴れ)」と「ケ(褻)」
あいさつ:いただきます、ごちそうさま(でした)、ただいま、おかえり(なさい)、いってらっしゃい、いってきます、失礼します(した)、お邪魔します(した)など。
上座・下座:地位の高い個体が上座に、そうでない個体が下座に座る。
いじめ:表向き集団主義であっても、集団内で利害の対立する相手を蹴落とす必要が生じる。しかし、表向きでは相手を気遣い『和』を重んじる集団主義であることになっているので、正面から邪魔な相手を排除するのではなく、集団の意見の流れを操るか、利用することにより、自己の利益を達成し、敵を蹴落とすことが多いとされることがある。なお、いじめには地位の強い者による弱い者に対する一方的な嫌がらせ(モラルハラスメント)など、他の文化圏でもよく見られるタイプもある。
根回し : 非公式な打ち合わせで、事前に利害を調整しておく交渉のやり方。
談合:上層部による話し合いで問題を解決するやり方。解決に至った場合は手打ちという儀式行為が成される。水枯れ期の田圃への取水についての村落同士の話し合いなどを発生起源とし、近年では土木・建設をはじめ多くの公共事業の分配方法の商慣習として蔓延していた。諸外国におけるカルテル同様、商行為上の犯罪行為として摘発されるようになってきている。
「恥」の文化・「謙遜」の文化